第1章 なぜ「論理的思考」が職場に必要なのか
論理的思考とは、「主張と根拠を整理し、相手に伝わる形で表現する力」です。職場では、感覚的・感情的な伝え方をすると誤解や衝突が生まれやすくなります。論理的に伝えることで、共通理解が生まれ、信頼が深まります。
論理と理論の違い
論理とは、「筋道を立てて考える方法(考え方の道筋)」のことです。一方で、理論とは、「ある事象を説明するための体系的な考え方(知識のまとまり)」を指します。つまり、論理=思考のプロセス、理論=知識のフレームワークといえます。
仕事で求められるのは、理論を知ることよりも、論理を使って考え・説明する力です。ロジカルシンキングは、「理論を覚える学問」ではなく、「筋道を立てて相手に伝える実践的スキル」なのです。
日本文化との関係
日本の職場では「空気を読む」力が重視されます。相手の意図を察し、調和を保つ点で非常に優れていますが、時にそれが誤解や曖昧さを生むこともあります。論理的思考は、こうした文化を否定するものではなく、相手との理解をそろえるための言語化のツールとして活用できます。空気を読む力に加えて、言葉で整理して伝える力を磨くことで、より円滑で正確なコミュニケーションが可能になります。
感情的になることのデメリット
- 相手が内容より感情に反応してしまう
- 判断がブレて、一貫性が失われる
- 冷静な議論が難しくなる
効果(要約)
- 報連相がスムーズになる
- 会議での意見表明が明確になる
- 問題解決のスピードが上がる
曖昧な報告:「昨日システムに問題があり、処理が遅れました。」
論理的な報告:「昨日のシステム障害でA部署の処理が3時間遅れました。原因は設定ミスで、対応策としてチェック工程を追加しました。」